第十二話 おもてなしの心
「おもてなし」と言う言葉には、
日本人にとってどこか心地よい響きがあります。
「もてなす」の丁寧語といわれますが、
その意味するところ、根底にあることは何でしょうか。
まずは「単なる接待」と「おもてなし」の違いですが、
その差は「心から相手を迎え入れる」思いが
あるかどうかということ。
会社などで、仕事として接待を
しなければならない時もありますが、
心がまったく伴わない儀礼的な接待は、
形だけ整えた「おもてなしもどき」です。
「おもてなし」は、はじめに形ありきではなく、
相手を心から迎えるまごころありきで、
その上で、「どんなご馳走を出すか」
「どんな趣向で相手に喜んで貰うか」などを
考えたらよいのではないでしょうか。
「おもてなし」として
「相手を心から迎え入れる」の根底には、
日本に昔から伝わるしきたりがあります。
それは年毎に歳神様をお迎えし、
季節ごとに季節の神様を迎えてきたことなどです。
暮れには、門松を飾って歳神様をお迎えし、
おせちなどをお供えして、おもてなしをする。
第十一話 初宮参りの時の神様(その2)
『第十話 初宮参りの時の神様』の続きです。
きっと今住んでいる土地の産土の神様に、神様同士でご連絡をして下さるはずです。それはただ「この人は、住まいがあなたの管轄の所に移っているそうなので、今度はそちらで宜しく」とだけでなく、
「この子は、赤ちゃんの時に、こんな子でした。そして子供の頃には、すごく腕白でしたが、思いやりのある子でした。」
あるいは「子供の頃、すこし喘息があって、あるいは内蔵が弱くて?お母さんが心配をしていました。本人はすっかり忘れていますが、今もまだその根っこが残っていますので、どうぞよろしくお願い致します」
「この人は、ご両親が幼い時に離別され、女手一つで育てられました。反抗期には、時々逆らったりしていましたが、母親思いの子です。今は、お母さんと離れて暮らしているようですが、親子の絆がよく保たれるようによろしくお願い致します」
といった、私達の身体のことや、運勢的な特徴などもお伝え下さるかもしれません。
神様は、どんなに離れていても全てお見通し。でも神様の世界には、厳しい掟があります。それは「権限の範囲
第十話 初宮参りの時の神様
『心を添えてこそ美しい、日本のしきたり』の本にも書きましたが、お七夜の時から三歳の誕生日までの間、赤ちゃんの魂は、産土の神様の懐に抱かれて育てられます。三歳までの記憶があまりないのは、その間に起きた出来事などは、すべて神様が受け取られるからと言われています。
そして初宮参りにご挨拶をして、産土の神様の氏子となります。その子が神社に遊びに来れば、私達は気がつかなくても、神様は「よく来た」と頭をなでたり、力を与えてくれたりします。
ちょうど「おじいちゃん!」といって遊びに行けば、頭をなでてくれたり、お菓子をくれたりするように。離れていっても、いつも心にかけてくれている。初宮参りでお参りをした神社の神様(基本的にお七夜の時の神様と初宮参りの時の神様は同じです)はそんなご存在です。
ですから、もし初宮参りをした神社からすでに別の地域に移り住んでいる方は、そこがご実家の近くであれば、里帰りをするときに神社に立ちより、今までのお礼と、ご挨拶をしないですでに引っ越しをしてしまいましたが、今、○○に住んでおります。どうぞよろしくお願い致します。とご
第九話 あなたにとって、一番なじみが深い神社とは(その2)
『第八話 あなたにとって、一番なじみが深い神社とは』の続き
それは市町村長に、転出・転入の手続きをはじめ、電話番号をはじめ、電気ガス水道などのライフラインなどの変更手続きをするのと同じように、本当は産土の神様にも転出・転入のご挨拶をしておかれたらよいのです。
何度も引っ越しをする人から見ると、面倒くさいと思うかもしれませんね。
でも市町村への転入・転出届けは、どんなに面倒でも必ずしています。産土の神様へのご挨拶も、その引っ越しの手続きといっては失礼になりますが、その中に組み込んで行うとよいのです。
「神道は、挨拶に始まり、挨拶に終わる」といわれますが、別の言葉で言えば、「開運は、挨拶に始まり、挨拶に終わる」ということです。
生まれたときに、産土の神様の所に初宮参りをし、そこから引っ越すときには、ご挨拶をして転出する。そして新しい土地で、またその土地を守ってくれる神様にご挨拶をして生活を始めるのです。
隣近所へ引っ越しのご挨拶をするのに、一番大事な神様へのご挨拶がないがしろになって、なかなか運が開けないとぼやいても仕方ないと思