第七話 雛人形は、いつ頃から出して、いつ片付けたらいいですか。(質問に答えて)
「雛人形は、雛祭りの日が終わったら、
すぐにしまわないとお嫁に行くのが遅くなる」
等と言われていますね。
三月三日の雛祭りが終わったら、
いつまでも飾っておかないで、
早く片付けないと、娘もなかなか
片付かないよ
(昔は、娘がお嫁に行くことを
片付くという言い方をしている人
がいました)
という意味合いで
使われたのかもしれませんが、
これは、儀式が終わった後は、
速やかに片付けて、
普段の生活に戻ることの大事さを
伝えているのでしょう。
日本には、「晴れの日」と「普段の日」
というけじめがあって、
「晴れの日」は、大いに祝い、
楽しみますが、
「普段の日」には、大地に足を付けて
堅実に生活する、まじめに働くと
言ってもいいかもしれませんが、
そんな区切りを大切にしてきました。
雛祭りも、女の子の幸せを祈る
一つの儀式といえます。
娘が将来、赤い糸で結ばれた
良いご縁の相手と出会い、
結婚出来るようにと祈るお祭りであり、
アルコールの入っていない白酒を飲むのは、
第六話 結婚前に一緒に暮らすことは、良くないのですか(質問に答えて)
出来れば、結婚式を挙げてから、一緒に暮らした方がよいです。
なぜかというと、一つには、それが「けじめ」だから。日本人は、けじめをとても大事にします。そしてもう一つは、女性の親の気持ちを大事して頂きたいからです。
私達は、ついつい自分一人の力で大きくなったように思ってしまいますし、結婚前は、好きな人以外は何も見えなくなってしまうかもしれませんが、少しだけ自分を何よりも大切にしてくれた人のことを見てほしいのです。
娘を育てるときの、こんなエピソードがあります。
あるお父さんは、娘が塾などで遅くなるときには、たとえ翌朝どんなに早い仕事を抱えていても、必ず駅まで迎えに行ったそうです。「大事な娘に何かあったら大変だ」そんな気持ちで行かずにはいられなかったのでしょう。
私の母も、塾の帰りには、必ずバス停まで迎えに来てくれました。バス停から、家までの間には、小学校と中学校が向かいあっていて、昼間の賑やかさとは裏腹に、夜になると本当にひと気の無くなるところがありました。
大人になってから、「あのときは、いつも小石を二つ三つ拾って、ポケットに
第五話 現代版の花嫁道具 母の味を受け継ぐ
遠距離恋愛を成就させて、ついに結婚することになった百合さん(仮名)。
お祝いの言葉と共に「結婚前に何かお母さんの味を受け継いで、それを嫁入り道具の一つにして嫁いだらいいですね」とお伝えしたのですが、そうはいっても結婚前の忙しい毎日です。何ヶ月も何もしないまま、いよいよ結婚一ヶ月前になってしまいました。
結婚したら実家とは遠く離れてしまいます。「お母さんから、直接料理を教えて貰えるのは、今しかない」と気がついた百合さんは、その時になって「お母さんの味を何か絶対に持って嫁ごう」と思い立ちました。
でもあと一ヶ月しかないのだから、何品も覚えるのは無理です。
「お母さんの味を何か一つ覚えるとしたら、何が良いと思う?」と姉妹たちに聞いてみました。「ウーン、グラタンは?」「唐揚げは?」いろいろな意見が出ましたが、そんな中で、「お母さんの料理はたくさんあるけれど、大根と里芋と人参とイカの煮物にしよう。」と百合さんは決めました。
それから、三週間近く、毎日のようにその煮物を作り、家族に試食して貰いました。同じものばかり毎日食べさせられた家族