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ホーム > 対談 > 小杉造園株式会社 代表取締役社長 小杉左岐様 第4章

第4章  『ものごとのバランスをとる』

藤原美津子: 小杉社長とお会いすることができたのは奇跡的ですね。ほとんど外国に行かれているのですから・・・

 

小杉社長: 私は何もしていないですよ。時間があれば、伊東市の宇佐美で森づくりです。残す木と切る木を選んでいます。

 

藤原美津子: それはどうやって選ぶのですか。

 

小杉社長: 畑を作ろうとするなら、全部覆って日陰にならないようにしようなどと、全体のバランスを見て判断します。山は、下草などで樹勢を守ってやらなければ災害が起こってしまいます。上に大きく繁りすぎれば、強い風や雨で崩れる原因にもなります。杉の木は、根元に日が当たらなければ草など生えず、台風などで抵抗力もなく崩れてしまいます。 

 

私は、実は、これからお百姓になろうと思っています。今、農家にはなかなか後継ぎがいないですから、そういう土地を譲り受けて私たち都会の人間が教わって農業をすることで、農家を継ごうとする人が出てくれればと思っています。 

 

 

藤原美津子: 日本人は食を軽く考えすぎていますね。「もともと農耕民族なのだから、土や食べ物、農業をもっと大事にしなければいけない」と主人も申しておりました。

 

小杉社長: 土地が二千平米以上あって、農地委員会が認めてくれればお百姓になれるそうですが、今の制度では、お百姓にならない限り、農地が買えません。

 

息子の嫁の実家がまだ畑を少しやっているので、絶対やめないでほしいと言っています。これからは、農業がいいと思えるような政策を国も取らないといけないと思いますよ。

 

藤原美津子: 知人も仕事をしながら農業をやっているのですけれど、何年もかけて育てた見習いの人が独立しようとすると、それだけでは食べていけないといいます。何とかしないといけませんね。

 

小杉社長: 昔の農家は、手がかからない植木の生産も一緒にやっていたのですが、植木が売れなくなったので、どうにもならなくなりました。相続税の問題もふりかかり、庭づくりする家もほとんどなくなってしまったのです。

対談

『外から日本を知る』

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藤原美津子: 相続税のために土地を売らなければならず、大きな庭園がどんどんなくなっているというお話を伺いましたが、今もそうでしょうか。 

 

小杉社長: その通りで、素晴らしい日本の庭文化がどんどんなくなっています。ですから、トヨタのレクサスブランドを手本として、世界中で日本庭園を作ってから逆輸入しようかと考えています。 

 

今、日本で日本庭園を流行らせようとしても無理です。まず海外で先に話題作りをして、それから、日本でも作ろうという環境を構築したいのです。 

 

 

藤原美津子: そうやって種をまいておけば、いつか廻ってきて、日本でもぜひ作りたいという流れになるでしょうね。

 

小杉社長: 私たちは植木屋ですから、あまり財産を残す必要もありません。住居とプラスアルファの土地があれば十分だろうと思っています。むしろ若い人には働く環境を残せばと思っています。 

 

藤原美津子: 仕事を残す、人を残すということが一番素晴らしいと言われますよね。私もそう思っております。

 

小杉社長: これからは、どんどん若い人に任せていくつもりです。私は海外に行ったり、伊豆の山で森づくりに力を入れます。あと三年もすれば大体の形ができて、十年後には、日本一のヒメシャラの里になると思います。

 

藤原美津子: 今思っても、すぐに出来るものではないですから、素晴らしいですね。

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